NOVEL



ファンタシースターオンライン
『銀の光』

プロローグ


ラグオルの地下……坑道と呼ばれる場所よりも地下に『それ』はあった。
それは『遺跡』と呼ばれる場所。

坑道の奥深くにあった三つの紋章の描かれた扉はハンターズの活躍によりその封印が解かれた。
だがハンターズが調査の為にその先に進もうとしたとき、軍の一部の暴走とも思える行動によりハンターズの立ち入りを禁じた。
ハンターズギルドは軍のその行為に総督府を通じて正式に抗議をしたが聞き入られない。
さらに軍のその行動にはラボの科学者の一部も関わっているとの情報も流れパイオニア2内に険悪の空気が流れる。

そして遺跡に扉の封印が解けてから1ヶ月ほど過ぎたとき、遺跡を調べていた調査隊の連絡が途絶える。
軍はすぐさま先発隊を出すが、それもまたすぐに連絡が途絶えた。
ラグオルで何が起きているか分からないまま数日が過ぎた時、先発隊の生き残りが一人だけ帰ってきた。
そして「化け物に襲われて全滅した……」と言い残し絶命する。
彼のその言葉を受け軍は先鋭部隊を投下するも、それもまた全滅という形で報告されることとなる。

それから数日後、軍はハンターズの立ち入りを許可を総督府を通じて発表されることになる。
その発表の数時間前、今は静寂を守る『遺跡』に二人の男女が何もない空間から舞い降りた。
ハンターズの立ち入り許可の発表がされる前ゆえに見つかれば処罰の対象になるわけだが、現在遺跡には誰もいない。
それに彼らはまるでそんなことは関係が無いかのようにまったく気にしていないようだ。

男の方は年の頃は17〜8歳ぐらい。
身長180cm前後で中肉中背で服の上からでも引き締まった筋肉を見て取れる。
そして腰まで届く程長く深い藍色の髪を首元で無造作に結び、容姿は美青年と呼んでも過言では無いほど整った顔立ちをしている。
女の方は年の頃15歳ほどで、ほっそりとした面持ちで身長は150cm前後。
こちらは深い藍色の長い髪をポニーテールにまとめている。
彼女もまた美少女と呼ばれるほどの容姿をしている。
二人はまるで兄妹のように見える程似ている。
そして二人ともハンターズらしくセイバーと思わしき柄を青年は二本、少女は一本それぞれ腰にぶら下げている。

「酷い有様ね」
少女が口を開く。
二人の目の前に広がるのは、無惨に破壊された軍の兵器と人々の血でどす黒く染まった床や壁だった。
だが何故か軍人の死体だけがどこにも見あたらない。
「みんな上に引き上げたのかな?」
少女は青年の厳しい横顔を見て言う。
青年は少女の方を見ると視線を足下に落とし、床を踵で軽く蹴る。
「来たら殺されると分ければ救助隊も出さないだろう。だから恐らく下だろうな」
「そう……」
少女もまた床を見てつぶやくと、顔を上げて青年に尋ねる
「それでどうするの? 私達で……」
青年は少女の言葉を遮るように顔を上げ言う。
「いや、これは彼らの役目だ。俺達の仕事じゃない」
「でもそう言いながらも手を貸すつもりでしょ?」
「さぁね」
先ほどまでの重い口調とは打って変わって軽く言う青年の言葉に少女はクスクスと笑う。
青年も軽く笑うと、優しい顔つきで少女を見る。
「手を貸すかどうかは置いておいて、俺達の可愛い『妹』に約束の物を渡すのが一番重要なことだけどな」
「そうだね。あの娘、元気にやってるかな?」
「あいつのことだ、周りを振り回しながら元気にやってるんじゃないか」
「それ、絶対にありそう」
その言葉に少女は声を出して笑い、青年も一緒に笑った。
しばらく笑うと、二人は真剣な顔つきで周囲を見る。
彼らの周りにはどこから出てきたのか数え切れないほどの怪物が姿を見せていた。
先の軍の全滅もこれら怪物の仕業のようだ。
それだけの怪物に囲まれていても二人には何故か余裕すら見える。
「お客さんが来たようだな」
「そうね。とりあえずこれぐらいは片づけておかないとね」
「そう言うことだ」
青年は腰に下げている二本の柄を両手で持つと純白に輝くフォトンの刃を放出する。
右手にダブルセイバー、左手にセイバーという変則とも言える二刀流。
そして少女も純白に輝くフォトンの刃を持つセイバーを構えた。
「よし行くぞ!」
「ええ!」
二人はその言葉を合図に怪物の群れに斬りかかっていった。




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<あとがき>
絵夢「PSO二次小説最終章です」
恵理「ずいぶんと間が開いたね」
絵夢「ネタは随分前から固まっていたんだけど書こうと思うようになるまでに時間が掛かりすぎたよ」
恵理「ご苦労様です」

恵理「ところで、プロローグでどこかで見たような二人が出ているんですが?」
絵夢「気のせいです」
恵理「いや、だから……」
絵夢「気のせいです」
恵理「分かりました(^^;」
絵夢「ハイ(^^)」

絵夢「次からストーリーが始まりますが、どうぞお楽しみにです」
恵理「では次回まで」
絵夢&恵理「まったね〜」